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信州は食材の宝庫。
信州の土が育む農産物が、私の食の原点になっています

キラリと光る人
キラリと光る人 料理研究家 横山タカ子さん

料理研究家横山タカ子さん

大町市の米農家に生まれ、小さな子どもでも田んぼ仕事を手伝うことが当たり前の時代に育ったという横山さん。現在は郷土料理研究家として、県内各地に伝わる様々な料理を紹介しながら、信州食材の魅力を発信している横山さんの“人生を変えた信州の味”とは?


米どころ大町市の郷土食「凍りもち」は懐かしい思い出の味

私が生まれた大町市には「凍りもち」という特産品がありますが、ついたお餅を切って和紙で包み、縄で編んだものを水に浸し、繰り返し寒風にさらして作る保存食です。

大町市の郷土食「凍りもち」

夜は氷点下で凍らせて、日中は溶かすという工程は、大町の気候を上手に利用したもので、自然と向き合って生きてきた先人の知恵は本当に素晴らしいと思います。

小さい頃は、この「凍りもち」を手で砕いてお椀に入れ、熱湯を注ぎ、お砂糖をちょっと入れて、葛湯のようにして食べていました。お正月は、水に戻してからフライパンで焼いて、きなこをつけて。そんなシンプルな食べ物ですが、ふるさとの思い出の味として記憶に残っています。


信州の伝統野菜の一つ「清内路にんにく」

南信州・清内路に伝わる「ニンニクの芽と淡竹の煮物」は驚きの美味しさ

長野県では、特定の地域で栽培されている野菜の保存と継承を図るために信州伝統野菜認定制度を設けており、私も「信州伝統野菜認定委員会」の委員長として関わらせていただいていますが、伝統野菜の一つである「清内路にんにく」を使った料理をいただく機会があり、その美味しさに驚きました。

正しくは、清内路にんにくの“芽”を使い、淡竹と一緒に煮たものですが、歯応えがとても良く、なんでも江戸時代から食べられているそうです。にんにくの芽は、炒め物にしか使わないイメージがありましたが、清内路では、にんにくは1本で3度おいしいと言われているそうで、実、茎、花、すべて食べるそうです。食物繊維も豊富にとれるので、長寿の秘訣はここにあると思いました。


信州を訪れたら、地元ならではの食を味わう。それが旅を楽しむ秘訣です

信州には、その地域ならではの料理が豊富にありますが、材料となる信州の農産物はとにかく素材が良いので、ちょっとの調理で本当においしくなります。

信州の人は、普段、家で食べている料理を、人には出せない、粗末で恥ずかしいものだと思っているようですが、都会の人にとっては、それがご馳走なんです。茹でただけ、和えただけ、漬けただけ、煮ただけ、これが一番贅沢な食べ方。

県外から信州を訪れる際には、宿泊先に、地元で普段から食べられている料理や郷土料理を用意してもらえるようお願いしておくのも良いと思います。

地産地消を掲げる飲食店も増えているので、見たことや聞いたことのない料理名を見つけたら、ぜひ注文してみてください。「えご」「こねつけ」「やたら」「すんき」、どんな食べ物なのか、自分の舌で確かめてみるのも旅の楽しみが広がります。そして、一番好きな信州の味を見つけて欲しいですね。

地元ならではの信州の郷土食

  • やたら

    長野県北部(飯綱町中心)に地元で愛されている料理で、なすやきゅうり、おくらなどの夏野菜と、みょうが、とうがらし、味噌漬けなどを刻んで混ぜたもの。
    やたらに美味しかったから「やたら」という名前が付けられたと言われています。
    ご飯にのせたり、お茶漬けにしたり、そうめんの薬味にしたり、暑くて食欲がなくなる時期にぴったりの料理です。

  • すんき

    長野県の「県選択無形民俗文化財」にも認定されている「すんき」は、赤カブの葉茎や、木曽菜、大根菜、などを、塩を全く使わず乳酸発酵させた保存食です。木曽地域の冬の食卓を彩る漬物で、「すんき漬け」とも呼ばれます。
    日本の伝統的な発酵食品の中でも植物由来の乳酸菌だけで作る「すんき」は全国的にも非常に珍しい信州の伝統食で、健康にも良いとされています。

  • こねつけ

    長野県の北信地域で食されている郷土食です。
    かつてはお米は貴重で、お米があまり多く作れない地域では、残ったお米を水で洗い、そこに小麦粉を足して焼いた「こねつけ」が保存食として作られていました。
    こねつけはお餅のようなもので、今はおやつとしても愛されています。

  • えご

    長野県の北部地域で食べられている郷土食です。
    海のない長野県の郷土食としてはとても珍しい「海苔」を使って作られる保存食です。冠婚葬祭やお祭りなどで振舞われています。
    飯山市では市の無形民俗文化財に認定し、地域を代表する食文化として今も引き継がれています。

信州山ごはん&地酒

“長寿日本一”長野県産の食材を使った「信州山ごはん」を楽しめるお店をご紹介します。
地元ならではの味をぜひご賞味ください。

情熱と自然の力が醸し出す豊かな味わい 信州のもう一つの魅力、地酒・ワイン

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